アメリカ大統領の机の話

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2016年5月12日

リゾルート・デスク

と聞いて、ピンとした方はほとんどいないと思います。

しかしそれが「アメリカ大統領の机」、と聞くと少し興味が出る人も多いのではないでしょうか?

現在、アメリカ大統領予備選の最中ですが、ひとたび大統領に指名されるとその権力は強大であり、またアメリカの「元首」として非常に尊敬されます。

大統領執務室は、通称「オーバル(楕円の)オフィス」と呼ばれますが、カーペットを含めその調度品は大統領が交代するたびに、その大統領が自分に合うように「模様替え」をします。

もちろん「大統領の机」も同様です。

しかしここ数代の大統領、クリントン、ブッシュ、オバマと連続して選ばれているのが「リゾルート・デスク」と呼ばれる机です。

もともとは、1880年にイギリスのビクトリア女王からアメリカ第19代大統領ラザフォード・ヘイズ大統領に送られた机であり、「リゾルート」という名前はイギリス王室海軍の船の名前、その木材から作られた机だそうです。

ヘイズ大統領も、これを「大統領執務室の机」として使ったわけでなく、ビクトリア女王から送られて以降、ホワイトハウスのいろいろなところで使われていたそうです。

その後、太平洋戦争で日本相手に大半の戦いの指揮をしたフランクリン・ルーズベルト大統領がその机に「大統領の紋章付きドア」を付けさせ、初めて大統領執務室のいわゆる「大統領の机」となったのがケネディ大統領からだとの事です。

ケネディ大統領は、妻のジャクリーン・ケネディ女史に薦められて使用しはじめ、その後はカーター、レーガン、クリントン、ブッシュ、オバマと5代の大統領の机として使用されてきました。

この机の有名な写真に、ケネディ大統領執務中に、息子のケネディ・ジュニアがドアを開け顔を出しているものがあります。

jfkovaloffice3アメリカ大統領は、時にこの机から直接国民に声をかける場合があります。

時に「時代を象徴する机」なのかもしれません。

 

こういう話を聞くと、一度は腰かけてみたいような机ですが、もちろん一般市民にとって「大統領執務室の机」など間近に見る機会などありません。

しかし、大統領は退位後、そのほとんどの場合、自分の功績を残すために地元に「大統領図書館」というものを作ります。

今のところ、少なくとも5人の大統領図書館に、この机のレプリカが展示してあるそうです。

アメリカを訪問する際には、一般の観光名所だけでなく、このような歴史を彩った机を見るために「大統領図書館」に足を運ぶのもいいかもしれません。